愛国心教育スパイラル?

愛国心教育に関する読売社説に対するid:kaikai00さんの指摘エントリ。


ムードだけで進められる論議 - 今日行く審議会@はてな

教育基本法と青少年の心の荒廃や犯罪の低年齢化、ライブドア事件に見られる自己中心の拝金主義的な考え方の蔓延との因果関係は一切実証されていない。懸念が現実になったなどというだけでは因果関係があるとは言えない。


不毛の論議をしているのは教育基本法を改正したいと考えている方々だ。現状をきちんと把握することさえせずに感覚や経験を針小棒大に主張し、ムードを先行させ改革していく。しかし、そのムードが現状を的確に捉えていないと主張してもそれは徒労に終わる。精神論や道徳論などでその議論は不毛な議論へとすり替えられるからだ。


教育基本法にいくら勤労精神の涵養を入れてもニート・フリーターの問題は解決しない。教育だけで解決できる問題ではないからだ。教育だけでは解決できない問題を教育さえよくなれば解決できるという甘い期待感を増大させている。そういった期待感やムードだけで教育基本法が改正されれば、現実からの乖離はますます大きくなる。



僕が最近の愛国心教育論議の中で、一番辟易するのは、愛国心教育を主張する(安倍氏の様な)人達がよく言う「愛国心教育は日本を救う」的な主張だ。彼らは、何か大きな社会的な事件が起きれば、「それは今の教育が悪いからで、この国の素晴しさを教える愛国心教育が必要だ」と決まりきった様に言う。そしてフリーターやニートの増加でさえも愛国心の欠如に結び付けられる。


そして、愛国心教育を導入すれば、何か問題が解決するかの様に言うけれども、id:kaikai00さんの仰るとおり、それらは「因果関係は一切実証されていない」暴論以外の何物でもないし、「教育だけで解決できる問題」ではない。だから、愛国心教育を行ったとしても多分問題は解決しないだろうし、何も変わらないだろうと思う。


僕が嫌なのは、そこから先の話で、愛国心教育を導入しても結局は何も変わらなかった時に、今まで「愛国心教育は日本を救う」と言っていた人達が、「実は愛国心教育と、青少年の問題は関係がなかったのではないか」と再考したりは全くせず、「問題が解決しないのは、愛国心教育が徹底されていないからだ。更なる愛国心教育を!」と噴き上がるのが、目に見える様だからだ。


その結果、「問題が解決しない→愛国心教育の強化→それでも問題が解決しない→更なる愛国心教育の強化」といった、愛国心教育スパイラル状態になってしまうのではないかと思わず妄想してしまうけど、本当になってしまいそうで少し心配。今回の教育基本法『改正』案が、そのスパイラルの入り口だったりしたら凄く嫌だな。