橋下知事の「役所は人件費を全く考慮していない」というツイートの件

橋下徹 on Twitter: "コストを正確に把握するなど経営の根幹。コストを把握せずしてコスト意識は持てません。役所の予算主義の弊害は、実際にかかる金の話ばかりで自分たちの人件費が全く考慮されていない。フルコストで計算していないんだよね。この原因は、役所の会計ルール。"

コストを正確に把握するなど経営の根幹。コストを把握せずしてコスト意識は持てません。役所の予算主義の弊害は、実際にかかる金の話ばかりで自分たちの人件費が全く考慮されていない。フルコストで計算していないんだよね。この原因は、役所の会計ルール。



何を根拠に上記の様な事を言っているのかわかりませんが、「役所が職員の人件費を全く考慮していない」というのは全くの嘘で、他の自治体において、事業評価や予算要求に際して、その事業に係る人件費を考慮している例は容易に見つける事ができます。


平成22年度事務事業評価の結果について - 愛知県

事務事業評価は、事務事業という県行政の活動において最も基礎となる単位で評価を実施し、事務事業の見直しへの活用や予算要求の参考とするものです。今年度は、1,664事務事業(昨年度は1,661)について評価を実施しました。



「事業仕分け・評価」について 京都府ホームページ

予算編成時において、職員自らが府民の視点でニーズを踏まえた必要性、事業主体や手法(協働等検討)、事業目標やコストをもとにした効果などを検証した事業仕分け・評価調書( PDFファイル ,81KB)を作成し、予算要求へ反映する。



上に愛知県と京都府の例を挙げましたが、どちらも事務事業の評価調書の項目に職員の人件費を記載する項目があって、その人件費を含めたコストで事業評価や予算要求を行っています。というか、人件費を含めて施策を評価する事業評価制度は、僕の勤め先も含めて、10年ぐらい前にブームとなって各自治体の中で数多く導入されてきました。その当時ならまだわかりますが、制度が定着した今になって、当の行政内部の人間から、この様な「役所は人件費を全く考慮していない」論が出てくるのには少し驚きました。


「先進的で改革に取り組んでいる自分」と「遅れていて改革が進んでいない他者」という構図を描きたいために、この様な言い方をするのかもしれませんが、このツイートを見た地方行政の状況をあまり知らない人達の多くは騙されてしまうわけで。改革者を自演するためにダシに使われる他の自治体にとっては、本当に迷惑な話ですね。大阪市は大変なんだろうなと同情したくなってきます。