マル激

今週は、猪間明俊氏をゲストとしての「まちがいだらけの東シナ海ガス田開発問題」。猪間氏は、自由主義史観研究会の杉本幹夫氏から「彼の歴史観は我々に近い」と評価されており(東シナ海資源開発)、いわゆる右派に属する方とお見受けするが、石油業界の専門家としての立場から、本問題に関する日本の主張が国際的常識や業界的な立場から無茶なものであると指摘されていた。一般的な報道では、無理難題を言っているのは中国の方だというイメージがあったので、非常に興味深かった。


番組での猪間氏の主張は、
DIRECTOR'S WATCHING No.13:東シナ海のガス田開発問題で要約されているとおりのもの。付記すれば、「地下の日本側の天然資源が全部吸い取られるイメージが強いが、吸い取られるのは地質構造的に一部だ」とも主張していた。


上のサイトでは、中国の自然延長論がやや優勢と書かれているけど、日本政府は、最近の国際司法裁判所の判決では中間線論の方が主流だと主張しているし、どちらの論が国際的に説得力を有するかわからない。色々サイトを回ってみたけど、これといったものには巡り合えなかった。


櫻井よしこ女史も言っていた自衛隊の護衛をつけて帝国石油に委託して試掘させるという案については、猪間氏は「中国は発砲はしないだろうが、中国も軍艦をつけて堀削を始めて井戸掘り競争になるだろう」と言っていた。しかしながら、東シナ海のガス田については、日本側は採算的にペイしない可能性が強いらしい。しかも、係争事案となっている所に先に手を出したのは日本だという形になる。そう聞くと、上記の案は一見勇ましく聞こえるけれども、日本の国益に殆どメリットがなく、しかも中国に日本側のラインを超えて堀削させる絶好の口実を与える、馬鹿馬鹿しい案の様に思えてきた。


なお、blog chisso radicalで、猪間氏本人がコメントされていた。ブッシュのコメントの部分は、マル激の中でも全く同じことを言っておられているので、本人に間違いないと思われる。ちょっと驚き。また、上記のサイトでは日本の主張がイラククウェート侵攻の際の主張と同じ論理であることを指摘されている。


番組の最後は、「愛国」「国粋」の議論。前に宮台氏の著書で読んだことがあるが、現実的な日本の国益を見据えた議論が「愛国」で、何でも日本バンザイなのが「国粋」。ガス田問題は「愛国」か「国粋」かを問う絶好のテストだけど、非常に悪い結果に終わってしまいそうな気もする。