ネオリベの象徴としてのディープインパクト

競馬の話題で。ディープインパクト有馬記念で2着。


未だに寺山修司の競馬エッセイとかを時折読んでいるアナクロな僕は、ディープインパクトの様な父サンデーサイレンスの良血馬が勝利を収め続け、「競馬に絶対はある」みたいな感じで語られるのは、生育環境の違いで人生の勝敗が決まってしまう様な気がして、極めて居心地が悪いものだった。


そして、彼の登場で再燃したファン人気についても。
僕の人生を全くといって投影できないディープインパクトは、馬券の対象にはなっても、僕には彼にファン的な感情を殆ど持つことはできなかった。
その彼に熱狂し、競馬場に詰め掛けるファンの映像を見るのは、底の浅い「勝ち組」賛美を聞かされているようだったし、また、小泉ネオリベ路線が圧勝した9.11選挙の結果と重なる様で嫌だった。


僕にとっては、ディープインパクトは、ネオリベの象徴、何処となく竹中平蔵的な感じがする馬だった。


なので、今日の有馬記念も、僕は彼が差し届かないのを願っていた。彼が敗北したのを確認した時、多数の人達は落胆したのだろうけど、僕は非常に嬉しかった。ただのアンチといってしまえばそれまでだけど、今日の有馬記念で「いかなる者であっても、人生に勝ち続けることは出来ない」という比喩を手に入れることが出来た気がしたからだ。


勝ったハーツクライも父サンデーサイレンス、母アイリッシュダンスの良血馬なのだけれど、とりあえず今日はそんな事は気にしないでおこう。
サンデーサイレンスの子供達が跋扈する様になってから、競馬には関心が持てなくなっていたけど、今日は久しぶりに見る価値のあったレースだった様に思う。