「フィギュアに学べ」って言うな!

荒川静香さんが金メダルを取った時、喜びながらも、妻と「他の競技の成績悪かったし、多分これで、新聞とか『フィギュアに学べ!』とか言い出すのじゃないかな』とか話していたら、本当にそういった主張を良く見てしまうので、なんだかげんなりした。


例えば、この朝日新聞の社説とか。僕が取っている地方紙でももう3回ぐらいそういった記事が出ているけど。


http://www.asahi.com/paper/editorial20060225.html

この冷静さを培ったのは、本人のたゆまぬ努力とそれに基づく自信だ。同時に、日本のフィギュア界が力を注いできた「環境づくり」の成果でもある。
(略)
欧米のスタイルを丸ごとのみ込み、その中で日本人の個性を磨いていく。日本連盟がそうした方針を固め、支える態勢を作っている。
(略)
一線級の選手層は厚いとはいえ、競技人口がとくに大きいわけではない。同じ悩みを抱える他の冬季競技も、見習う点があるに違いない。
(略)
なかでもスピードスケートや、ノルディックスキーのジャンプや複合の不振は目を覆うほど。いずれも90年代は世界をリードしていた競技だ。



スピードスケートの岡崎さんやスキーアルペンの皆川さんもタイム的に本当に惜しかったし、銅メダルと遜色ない成績だった。一方で、もしかすると荒川さんが銅メダルに終わってしまう事も十分考えられたわけで、同様の成績しか残せない可能性も十分にあった。


当日、メダルを取れるか取れないかというのは、選手の体調や心理状況、運とかで色々と変わってしまうわけだし、「支える態勢」とか、「環境づくり」云々は、それは大会にどの程度の選手をそろえられたかという話で、大会の前に問われるべき話だったのではないかと思う。


どうせ加藤選手が金とか銀とか取れていたら、「スピードスケートに学べ!」とか言っていたのでしょ? 水物に過ぎない、当日の結果(しかも3位に入れるか否か)で「スピードスケートの不振は目を覆うほどだ」「最新の技術やトレーニングを採り入れることに鈍感」とか書かれたら、選手や協会の人達はたまったもんじゃないな。  


僕は、別にメディア批判をする趣味はないけど、この件に関してだけは、フィギュアの育成方法がどうたこうたら言っている新聞やテレビの人達に、本田由紀さんの様に声を大にして言いたい。
「フィギュアに学べ」って言うな!