「裁判を利用している」という批判

http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20070904
http://d.hatena.ne.jp/s_kotake/20070901/p5


謝罪と解決金が支払われ、和解という結果に終わった積水ハウスさんの差別発言に関する裁判の件について。


今からだとどうとでも言えるのですが、「裁判を徐さんが起こし、積水ハウスも裁判に対して支援する」という最初の記事を見た時に、おそらくこの裁判は徐さん側に有利な結果で終わるのではないかと思いました。積水ハウスさんにも顧問の弁護士がいるだろうし、会社としてもコミットする決断をした以上、事前に弁護士の方と相談して、事実関係を確認した上で、勝つ見込みが高いと判断しての告訴ではないかと思ったからです。どの会社でもそうだと思いますが、僕の勤め先でも、訴訟関係の時は事前に弁護士の方の御意見をお聞きしますしね。


和解という結果をid:s_kotakeさんの記事で知った後で、本裁判について書いてあるブログを色々と検索して回ってみましたが、id:vanacoralさんの記事で紹介されている様な、積水ハウスさんを批判する嫌韓系の方の記事ばっかりでした。やっぱりネガティブな関心の方が強いし、長続きするという事なんでしょうね。「差別された社員の裁判を応援するって偉いね」と好意的に受け止めた人は、その好意的な感想程度で終わってしまう人が大半なのでしょう。僕も好意的に受け止めた人の一人ですが、ブログの記事にしたにも関わらず、裁判の経過については殆ど関心を失っていました。


積水ハウスさんを批判する記事は、ある程度共通していて、「積水ハウスは裁判を利用して工事ミスの問題を人権差別問題にすりかえた」とし、今回の和解は悪しき前例であり、積水ハウスの作戦が成功した、これから積水に文句を言えばこの方法を使われる、という感じの批判が多かった様に思います。この批判の妥当性は別として、「裁判や差別を利用している」という批判は、そもそも裁判という方法を使ったという行動自体を批判の対象にしているので、裁判の結果に関わらず積水ハウスさんへの批判が継続できるという意味で、便利な方法だなとの印象を持ちました。被告の方が和解に応じなかった場合、被告の敗訴になっていたらしいですが、おそらく積水ハウスさんは、その場合であっても同じような批判のされ方をされていたのではないかと思います。


光市の弁護団の場合も似た様に、「死刑廃止運動にこの裁判を利用しようとしている」という批判を受けています。当事者である今枝弁護士のコメントを読ませて頂く限り、その批判はあまり当たらないのではないかと個人的には考えていますが、しかしながら、今までの状況を考えると、もし無期懲役の判決が出た場合、厳罰化を求める声とともに、「この裁判を自分達の政治活動に利用した」「死刑廃止を企む彼達の目論みが上手く行った」等の理由で、弁護団に対するバッシングに更に燃料が投下されるのは、ほぼ確実の様な気がします。勿論そのあたりは既に覚悟されての行動でしょうし、そもそも弁護団の方々には如何しようもない事なのですが。