藤田知事の発言についての雑感

中国新聞 地域ニュース : 藤田知事発言に非難の声
痛いニュース(ノ∀`) : 「朝の3時ごろまで、盛り場でうろうろしている未成年もどうかと思う」 米兵による少女集団レイプで、広島県知事が発言→非難の声 - ライブドアブログ

藤田知事は開会セレモニーで、あいさつ。事件に言及し、「朝の3時ごろまで、盛り場でうろうろしている未成年もどうかと思うんでありますけれども、米兵による暴行事件が起きました。誠に遺憾であり、強く抗議したい」と述べた。

藤田知事は取材に対し、「真意は、犯罪に遭わないリスク管理について一般論として言及しようとした」と説明した。



この手の挨拶は、事務方の職員が予め原稿を作成しているのが殆どなわけだけど、職員が挨拶に「盛り場でうろうろしている未成年もどうか」という文章を入れるとはさすがに考えにくい。原稿がどの様な文章だったかは知る由もないけど、恐らく、原稿は「残念な事に、この度、米兵による暴行事件がありました。誠に遺憾であり…」という様な文章だったんだろう。それに藤田知事がアドリブで、「朝の3時ごろまで…」というくだりを付け加えたんだろうと思う。


発言の適否以前に、女性会議の挨拶でこの様な事についてわざわざ言及してしまう藤田知事の政治的センスのなさに驚いてしまう。原稿どおり挨拶を読めばよかったのに。僕が県の事務方の職員だったら、頭を抱えるしか他ないけど。


この発言について気になったのは「未成年もどうか」という言い回しの仕方で、「いかがなものか」という言葉もそうだけれど、役所や政治家の人達がこの種の言葉を使う時、大抵の場合、その対象に対して、批判的な意図が込められている。例えば、「所信表明の直後に退陣するのはどうかと思う(いかがなものか)」という発言をしたら、普通は安倍首相に対する批判として受け止められるのが自然で、誰も総理大臣の退陣のあり方についての一般論として言及したとは思わない。まあ、知事がそうだと説明されているんだから仕方ないけれど、普通、一般論として言及しようとする政治家は、「〜はどうか」「〜はいかがなものか」という言い方をしない様に思う。


この知事の発言について「正論だ」という意見を見かける。だけど、これを一般論としては正しいからという理由で、正論と言ってしまうのであれば、例えば「他に誰もいない家の中に、男性を招き入れるのは危険だ」というのも、リスク管理についての一般論としては正しいわけである。妻に聞いてみたけれど、やはり一人の時は男性を家の中に入れないと言っていた。とすれば、極端な例なのかもしれないけれど、光市事件について「業者の格好をしているからといって、若い男性を無防備に招き入れるのはどうか」と言及する意見も正論ということになるのだろうか。僕にはとてもこの言及が正論だとは思えないし、今回のレイプ事件についても同じ様に正論だとは思えない。正論と感じる感覚は人それぞれだと思うけれど、一般論としてではなく、レイプという重大な被害を受けた人がいる現実の犯罪行為に対してなされたこの知事の発言が、僕には、正論の様にはとても思えなかった。


ただ、「正論である」の『正論』が産経新聞社の論説的な意味での『正論』だというのであれば、少なくともそれは満たしているなと思う。実際はともかく、いかにも産経的な意見という感じがするから。