何故「治安は悪くない」とアピールしないんだろうか

http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20071104/1194141456
少年犯罪データベース


この件に絡んで、以前仕事で御一緒だった上司の方(凄く博識な方です)が、今青少年関係の部署で働いておられており、先日青少年対策についてお話しする機会がありましたので、その時に小一時間ほど問い詰めてみました(実際は単に話を振ってみただけ)。「凶悪な少年犯罪って実は昔に比べて減っているんじゃないですか?」「報道機関が煽っているだけでは?」「行政は何か対策する必要があるんですか?」と。


勿論、統計上凶悪な少年犯罪が昔に比べて減っている事については、その元上司の方も当然ながらお知りになられていました。しかしながら、おそらく報道機関が煽っているというよりは、現代の特に中高年齢層がそういう社会意識や不安を抱えているのだろうと。そういう素地がなければ、報道機関が過剰な報道してもスルーされているだけだろうと。そして、その様な社会意識と不安が現にあるのであれば、住民を安心させるため、行政は何らかの手当てを行う必要があるのではないかというのが、元上司の御意見(当然ながらこの方の個人的な見解です)でした。


報道機関の過剰な報道があるからその様な社会意識になっているのか、その様な社会意識がまずあるからこの様な報道が受け入れられるのか、それこそにわとりが先かタマゴが先かの話ですが、「現実に不安なんだから、対策を行うべきだ」というのは、少年犯罪に限らない、治安問題全般に言える話ではあります。体感治安が現に悪くなっているんだから、安心・安全を確保するために、とりあえず行政は対策を講じるべきだと。


それも一つの理屈なんですが、担当者ではない僕は、それなら、何故もっと「少年の凶悪犯罪は増えていない」「治安はそんなに悪くなっていない」というアピールを、行政はしないのかと思うのです。経済絡みの話だと、色々とアナウンスをしたりしますよね。景気の先行き不安に対して、「日本の実体経済は順調です」と言ったりとか。なのに治安の場合は、不安を打ち消す為のアナウンスは行政や政治からは殆どと言っていいほどなされない。この財政難の折り、アナウンスするだけだったら、警察官を増やすのと違って費用も殆どかからなくて安上がりなのにね。


…てな事を言っていたら、元上司の方も苦笑してました。部外者だから好き勝手な事言うねっていう感じで。


治安対策も福祉や教育とかと一緒で、自治体首長の姿勢や実績として非常にアピールしやすい分野というのはわかります。実際に住民に不安があるのに、「そんなに治安は悪くない」と言っているより、対策を早急に講じる方が評価されるだろうし。けど、元々統計と関係なく、体感的に不安になっている社会に、治安対策により統計上の犯罪件数が減ったとしても、実際どれだけの効果があるのかと思うわけです。それこそ一つの猟奇的な事件が報道されたら元の木阿弥の様な。原因と対策がずれている感じがするんですよね。