県庁の仕事を強制する話にならないのは肉体労働じゃないから?

http://sankei.jp.msn.com/politics/local/071129/lcl0711292124005-n1.htm

「この国の道徳観の崩壊を心配しての発言と解釈してほしい」とした上で、知事は「例えば徴農制とかで一定期間、農業を体験するとか、介護、医療、災害復興の手伝いなどをある程度強制しないと今後の担い手不足、社会構造の変化に付いていけないと危惧(きぐ)している」と強調した。



東国原知事がインタビューの他の部分で「心身を鍛錬する場」との表現を使ってますけど、上の発言で挙げられた例を見るとその「場」のイメージが分かりそうな気がします。公共的な色合いを持つもので、かつ肉体的な活動であること。心を鍛えるために、公共的な活動に従事させたい、身体を鍛えるために肉体的な活動をさせたい、その両者を満たすものが選ばれると。最初に知事が述べた徴兵制にしても、安倍内閣の時に話があった福祉施設でのボランティア義務化にしても同じ事が言えそうです。


僕は、この東国原知事の発言を知った時、「県知事なんだから、そう思うなら、県庁の仕事を強制させたらいいんじゃないか」と、まず初めに思いました。受け入れ体制の整備の大変さを考えたら、他の所に押し付けるより、まず自分の所でやるべきだろうし、また、県庁の仕事でも厳しい仕事は沢山ありますしね。税金の徴収とか、悪質業者への対応とか。仕事によっては、ヤクザまがいの人の相手もしないといけない場合もあります。


でも、実際には「役所の仕事を強制させろ」という声は巷にも殆ど無くて、知事の頭の中にもその選択肢が無い様に見えるのは、若者を鍛える為には「汗を流す」という事が必要で、県庁の仕事はその様なイメージにそぐわないからじゃないかと思います。事務作業は肉体的な活動でないから、強制の対象に選ばれない。医療にしても災害復興の手伝いにしても、業務を円滑に進めるためには事務仕事も当然ながら大切ですが、強制させたい人達の中では、その様な事務作業ではなくて肉体的な貢献−患者さんのリハビリの手助けをしている光景、地震で潰れた家屋の後片付けをしているという様な光景−が思い描かれているような気がします。


話は変わりますが、この知事の持論って、自分の県の職員の新採研修にも何か向かいそうですね…。数日間の自衛隊体験入隊とか、養鶏農家の体験研修とかが、知事の意向で来年度の新採研修のメニューに入れられたりする事もありそうで、少し嫌な感じがするな。