借金5兆円の話

1年ぶりの更新です。前回に引き続いて大阪府の財政の話題。
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100206/lcl1002060332000-n1.htm

最も力を注いだ財政改革は軌道に乗っている。就任時に約5兆円の債務残高を抱えた府財政を立て直すため、3年間で2454億円の歳出削減を掲げた。



以前から気になっていた話なんですが、この一般に言われている大阪府の借金5兆円というのは、臨時財政対策債を含んでいる額と思われるので、額面どおり受け取れない様に思うのでした。
http://www.pref.osaka.jp/attach/5163/00019198/1-3.pdf
上が、平成21年度当初予算の資料でこの8ページ目に府債残高の情報があるわけですが、括弧無しの数字と括弧ありの数字があります。で、括弧無しの数字がほぼ5兆円になっていて、これが多分巷に言われている額なんだと思いますけど、実際大阪府が府債として返さないといけないのは、ここの数字で言えば、括弧ありの数字の方で約4兆円です。1兆円は大阪府が返す必要なし。


この1兆円は、臨時財政対策債や減税補てん債などで、後日地方交付税でその金額が国から措置されますので、実質的には府が返す借金ではありません。僕がカードで5万円の買い物をして、その内1万円は友人が後で出すと確約してくれると言っているから、僕が支払うべき残額は4万円だという単純な話なのですが、大阪府の借金については、その臨時財政対策債の数字が考慮されないまま、5兆円という数字が流通してしまっている様な感じを受けます。


それを踏まえて少し朝日批判。
http://www.asahi.com/politics/update/0205/OSK201002040156.html
上の朝日の記事は、府の来年度予算が税収減となったが、国の特例交付金臨時財政対策債の増発などで赤字を免れたという記事なのですが、ここでは臨時財政対策債=国が地方交付税で補填=府の借金ではないという事で、財政対策債の増発について、特段批判をしている様には見えません。
その片方で、この様な記事では、借金は産経と同じ様に府の借金は5兆円と書いていて、こっちでは臨時財政対策債の金額が借金に含まれる様に書かれているわけです。一体どっちなんだ朝日新聞。新聞社は記者発表の情報をそのまま出しているだけだろうから、大阪府が(何かの意図があるのかどうかわかりませんが)、そういう情報の出し方をしているということだけなのかもしれませんが。