大阪府財政の話続き(大阪府に収支不足が発生する件について)

nobuyuki537 (@nobuyuki537) | Twitter

橋下知事大阪府財政再建に成功したかのように言っているが、ではなぜ600億の収支不足が発生し、新たな財政構造改革プランが必要なのだろう?



上のツイッターのつぶやきは、大阪府が、今後も毎年600億円の収支不足が発生するために、新たな財政構造改革プランを作成したことについて、橋下知事により「黒字化」して財政再建に成功したはずなのに、それは何故なのかという問いなのですが、そもそもこの様な収支不足に対応する(そして財政再生団体転落を回避する)行財政改革プランが作られること自体は、殆ど全ての都道府県や政令指定都市でもされている事で、大阪府だけが特殊だというわけではありません。


例えば滋賀県は年間400億円発生する一般財源不足に対応する「滋賀県財政構造改革プログラム」を定めていますし、震災後の復興事業の痛手が大きく、実質公債費比率の数字も悪い兵庫県は、10年間で12,000億円の収支不足を解消する新行財政構造改革推進方策を定めています。ですので、この様な計画があること自体は特殊でもなんでもないのですが、大阪府が特殊なのは、この様な計画があるにも関わらず「財政再建に成功した」と多くの府民が誤解しているところです。


どこの都道府県であっても、知事になって1年や2年で財政再建に成功するわけがありませんし、府債がすぐに無くなるわけではありません。長い期間にわたる取り組みが必要になります。僕の勤め先だって、僕が入庁した10数年前からずっと行財政改革の計画があって、それに従った経費削減の取り組みがされてきましたが、財政難は継続したままです。財政難はそんなに短期間で解決する様な問題ではありません。


しかしながら、政治の世界ではその様に誤解させたい人達がいるわけで、このまとめ記事によれば、「太田知事は改革を無視したが、橋下知事によって改革が動き出して、単年度黒字を11年ぶりに達成した」と大阪維新の会府議がアピールされています。この府議は他でも「大阪府は破産するところだったが橋下知事が救った」と発言されているようでして、いかにも、橋下知事を「府財政の救世主」と言う事にしたいようです。


実際は、太田知事の時から行財政改革の取り組みはされてきましたし、単年度黒字それ自体は府の財政再建とは殆ど関係ない事柄で、成果としてアピールできることではありません。しかし、橋下知事の「改革者」「府財政の救世主」という印象は、彼と大阪維新の会の最大の政治的資産(あとは大阪市叩き)ですから、それを最大限に活用するため、印象操作を交えてこの様に言うのでしょう。その様にして、てっとり早く利用するために作られた「府財政の救世主」のイメージと、実際には解決に長い期間がかかる府の財政難。その間の齟齬が「財政再建に成功したのになぜ収支が不足するのか」という問いになるわけです。


しかし、勿論、多くの府民は、太田府政の取り組みや黒字化の意味や収支不足が今後も発生する事実を知りません。ですので、大阪維新の会の政治的アピールは有効に働くでしょうし、一種の誤解を再生産させながら、橋下知事大阪維新の会は今後も高い支持率を引き続いて獲得していく様に思います。それが大阪にとって良い事なのかどうかは僕にはなんとも言えないですが。