実は大阪府の財政指標の数字が悪化していた件について

2つ前のエントリで、そもそも地方公共団体の予算や決算において、殆ど「黒字」や「赤字」の意味がないこと(借金して収入が増えた場合でも黒字になるから)について書きましたが、では、予算時に「黒字」化したという事で大絶賛された平成21年度の大阪府の決算が実際どうであったかというと、実は財政指標の数字は悪くなっていたのでした。


http://www.pref.osaka.jp/zaisei/joukyou/14kenzenka-kakutei.html


上記に掲載されている数字が、地方公共団体の財務状況を示す健全化判断比率の数字で、この数字が財政再生基準に達すると、財政再生団体(いわゆる「夕張」)になってしまうわけですが、実質公債費比率、将来負担比率ともに、平成21年度における大阪府の数値は悪化しています。
また、実質公債費比率については前任の太田府政からの数年間の数字があるのですが、平成17年で15.5%、平成18年で16.7%、平成19年で16.6%、平成20年で16.6%と推移してきており、今回17.2%に上昇しています。橋下知事になっても上昇傾向は止まっていないわけですね。


大阪維新の会府議「大阪府は倒産するところだったが、橋下知事が救った」と豪語されているようなのですが、少なくとも健全化判断比率のデータを見る限りでは僕にはそう判断できません。赤字隠しの件があったとは言え、財政再生基準の水準をかなり下回っている大阪府は始めから倒産するところではなかったと考えていますし、また、データの数字だけを見ると、逆に財政再生基準に近づいているわけですから、橋下知事大阪府を倒産から救ったと言い切るのは早計であるかの様に思います。


黒字化した時、橋下知事を評価するブクマのコメントに「数字で結果を出せば印象操作のしようがない」というのがあったのですが、数字(指標)というのは一つだけというわけではありません。都合の良い数字だけを拾ってしまい、都合の悪い数字を確認しなければ、それもまた誤った印象を持ってしまうことになるわけです。橋下知事が全く評価に値しないと言うつもりはありませんが、マスコミの報道だけで評価を決めてしまうのではなくて、この様なあまり表に出されないデータも踏まえて、彼を評価する必要があるのではないかと思います。メディアリテラシーの基本事項にあたる事なのかもしれませんが。