都の少年課副参事の「成果」

東京都青少年健全育成条例。推進派への疑問 : 空の森

参事は幼女の写真集とDVDを数点、どう見ても通常の書店のコミックスの棚には並ばない18禁コミックスを数冊を「おかあさんたちはこのような恐ろしいものが、普通の本屋で、子供たちの手に届く形でおいている事を知らないので、こうして持ってきているんです」と言いながら、約50人近くの父兄(PTAなのでほとんどが母親)に、回覧させはしめたのです。



東京都の青少年健全育成条例の改正に絡んで、都の少年課副参事がPTAの会合で父兄の方々を煽って不安にさせているとの事で、この記事が本当なら、こういう仕事の仕方には嫌悪感を抱きますし、酷い話だなと思います。同じ地方公務員として、統計等の情報や状況説明を丁寧に提供した上で、改正の可否について住民の方々に判断して頂くべきであり、特定の印象を押し付ける様な説明の仕方はおかしいと考えますので。


しかしながら、僕の考え方は古い、「お役所仕事」的な考え方なのかもしれません。最近の行政や公務員の仕事に対しては「成果主義」や「生産性」の重要性がよく叫ばれます。ノルマがなく非生産的な公務員、というのは、公務員批判の定番と言ってもよいぐらいです。


その様な「成果主義」や「生産性」の観点から言えば、本副参事の仕事は逆に評価に値すると言えるのかもしれません。本条例の改正は都の中でもかなり重要な政策と思われますが、条例の改正への賛同を調達するという点では、酷い部分を殊更に強調する彼の仕事は「生産性」の高い「成果」をあげているように見えます。目的を達成するための営業トークとしては優秀です。僕の様に住民に出来る限り多くの情報を提供して、時間を取って判断して頂いて…という様な仕事の考え方では、時間がかかって非効率ですし、何より条例改正に賛同して頂くという「成果」を得られるかどうかわかりません。


成果主義導入の流れを受けて、東京都にも業績評価制度や自己申告制度があって、(どの程度反映しているかは分からないですが、)その評価が人事考課や昇給に影響しているようです。僕の勤め先にも似た様な自己申告制度がありますが、本条例が改正に至った後、当の副参事は、条例改正のための住民の賛同を得たことを自らの成果として申告し、当局側の方もそれを業績として評価するのではないかと思います。自分の経験上、多分その可能性は高いと思うのですが、人の権利や人生に影響を与える物事が「成果」として処理されることに、個人的に抵抗感を覚えます。これも僕の古い「お役所仕事」の体質によるものなのかもしれないのですが。