将来負担比率でも大阪府は大阪市に敗北していた件

例の大阪府大阪市の財政論議の件で、悪化している大阪府の実質公債費比率の数値を出されるのは都合が悪いためか、大阪維新の会の方がツイッター上で下記のようなことを仰っていました。


http://twitter.com/muratatakao/status/96837997315633152

このように、大阪市役所の場合、公債費比率に表れてこない、莫大かつ質の悪い“隠れ借金”があるということです。将来負担比率では、政令市のなかでは、財政火の車状態のドン穴3兄弟(千葉市横浜市大阪市)に入ってますから。大阪市民が知らないうちに借金の“人質”にされていたわけです。



将来負担比率は、実質公債費比率と同じく、自治体財政健全化法によって導入された指標の一つで、地方債など自治体が将来に負担すべき債務(公営企業や第三セクター等含む)がその自治体の財政規模の何倍あるかを示したものなのですが、「実質公債費比率では表れてこない借金がある。将来負担比率の数値が大阪市は悪いのだ。」という主張のようです。


まず、大阪市政令市の中では数値が悪い順に言うと5番目なので「ドン穴3兄弟」というのは間違いなのですが、それはそれとして、大阪府大阪市の将来負担比率の推移を比較してみますと、実質公債費比率以上に、大阪府大阪市に敗北している結果となったのでした。
http://www.pref.osaka.jp/zaisei/joukyou/11hikaku.html
大阪市:市町村財政比較分析表(平成21年度) (…>その他 財政関係資料>財政状況資料集)

自治 平成19年 平成20年 平成21年
大阪府 290.0 288.6 289.2
大阪市 263.8 245.7 238.7



上記は過去3年の将来負担比率の推移ですが、大阪府は殆ど横ばいとなっている一方で、大阪市は25ポイントほど数値が低下しており、平成21年度で大阪府大阪市は50ポイントもの差がついている状況です。この数字を素直に評価すれば、大阪市は将来の財務負担を着実に減少させている一方で、大阪府はそれほど解消できているわけではないという事になるでしょう。実質公債費比率では都合が悪いから、違う指標を持ち出してみたら、更に(大阪市を攻撃したい)維新の会にとって都合が悪かったという、単に墓穴を掘っただけのお話。


今回の件だけではなく、前回の地方選でも、大阪維新の会マニフェストの中に「大阪市役所の行政改革断行」という事で「将来世代にツケを回さないための橋下府政が行ったと同様の徹底した財政再建」と書いていたのですが、「将来世代のツケ」を指標で示した、将来負担比率の数字が良くなっている大阪市に向かって、数字が殆ど良くなっていない「橋下府政」を見習えと主張していたわけで、なんとも僕には理解が難しかったのでした。何か他にその主張の根拠となる、有力な指標でもあったんでしょうか。あるのなら知りたい。